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21世紀の資本
トマ・ピケティ (著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜 (翻訳), 森本正史 (翻訳)

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  • ジャンル:
    経営・経済
  • 読了時間:
    4時間
  • 形態:
  • 読んだ人:
    大田忍
  • 評価:
    必読書

原題はは、「Le Capital」。資本という意味のフランス語。

 

久々に必読書に分類した本でした。

なぜか?という理由は、ほぼこの本の本質と同じになると思うのですが、「なぜ経済的格差が生まれ、それは広がり続けるのか」を解き明かしているから。r>gという不等式を用いて。

rは、資本の平均年間収益率(rate of return)で

gは、その経済成長率(growth rate)。

どういうことかというと引用するとこうなります。

「資本収益率が経済の成長率を大幅に上回ると、論理的にいって相続財産は産出や所得よりも急速に増える」

ということになります。追記すると

「相続財産を持つ人々は、資本からの所得のごく一部を貯蓄するだけで、その資本を経済全体よりも急激に増やせる」

ということで、つまりお金をいっぱい持っていると労働収益よりずっと稼ぎやすい、ということになります。

これは明らかな割にみな注目していない現代の経済のシステムのありようです。

10万円しか持っていない人が1億円を稼ぐのは、かなり大変なのに比べて100億円持っている人にとってはかなり簡単なんです。

ちょっと税金とは考えるのおいておいても1%の利回りで運用すればいいだけの話になります。インデックス投資でも数%の利回りは期待できるのですから。

金持ちは、誰よりも働いてるかと言えば、そんなことはないんです。所得や産出より大きな資本のほうが稼げるから。金が金を作ってくれているんです。そういう意味では、トルストイの『イワンの馬鹿』はキリスト教的なおとぎ話です。

 

この考えの根拠をいろんな視点からデータをベースにしつつ紹介しているのがこの本。しかも文体は紳士的で翻訳は読みやすいです。

高いので中古で買いました。これだけ厚い本だとめくるのが大変なのでまずは本で買いました。佐藤優さんは、Kindleでも本でも両方持っておくと便利と言っていましたので、そのうちKindleでも買うかもしれません。

 

 

大田 2020年217冊目(通算575冊)

(2020/09/02)