誰もが知る、フェリークス・メンデルスゾーンの結婚行進曲は、彼の劇付随音楽『夏の夜の夢』の中の1曲。
ドタバタ喜劇のこの物語は、妖精たちを含む3つの結婚式で大団円で終わるもの。
作中のキャラクターのシーシアスは、今漫画やドラマで少し目にする「テセウス」の別の読み方。テセウスは、ギリシャ神話のなかでクレタ島のミノタウロスを倒す英雄。彼が結婚する相手ヒポリタもギリシャ神話のヒッポリュテー。目を覚ましたときに最初に目にした人に惚れてしまうという媚薬も出てきて、なんだか聴いたことのあるこのプロットは、この物語から来ているものかも。
こんなふうに、シェイクスピアを含めた古典から話やエピソードを拝借して生まれた物語はけっこうあります。それをパロディと言います。パロディというとコメディのニュアンスで受けてとりがちですが、本来は「作風の模倣」という意味。その誤解をさけてフランス語の「パスティーシュ」と言うこともあります。
もうひとつの話、『あらし』もテンペストという名で有名。こちらにも妖精が出てきます。
デレク・ジャーマンや最近ならジュリー・テイモアが映画化しています。
トム・クルーズとニコール・キッドマンが主演したスタンリー・キューブリックの『アイズ・ワイド・シャット(Eyes Wide Shut)』は、この物語のセバスチャンのセリフ「Eyes wide ope」の引用。opeは、「開く」という意味。
これが有名なメンデルスゾーンの結婚行進曲です↓。
大田 2020年76冊目(通算434冊)