名脇役の沢村貞子氏は、食事の記録を長くつけていて、それが今テレビで番組になっています。飯島奈美さんが、献立の名前だけを見て、想像で復元するもので、テレビを普段みない私ですが、これはときどき録画したものを見ています。
これは本には書かれていませんが、
85歳のとき、貞子さんの夫が死去して、その後、密かに書いていた原稿が見つかってそこにはこう書かれていたそうです。
「こんなに楽しい老後があるとは思わなかった。これはみんな やさしくて頭の良いていこ(貞子さんの本名)のおかげだ。僕は幸せだった。」
さて、この本は、料理についても少し書かれていますが、おもいに雑談です。がゆえに、まるで沢村貞子さんがうちにきていろいろ話して帰っていくというように感じて、近所に仲の良い年上の方ができたような心持ちになれます。よく喋る。小言もしつこい。でも、愉快。
和風のヒュッゲ(デンマークの思想で、心地よく過ごす工夫という意味)がここにありました。
一冊これがリビングにあると、食後やティータイムに読めばとたんに来客を得たような気配に包まれます。
オススメです。
大田 2020年91冊目(通算449冊)