期待したもの:
哲学者、内田樹(うちだ・たつる)※氏が語る村上春樹ってどんなものか知りたい。
※「いつき」じゃなくて「たつる」さんなんだ!って驚いた。
得たもの:
文学全般(および哲学全般)の知識がある人からみると
どのように村上春樹が見えるのか、また村上春樹はどのように
批評されているのか、ざっくりと知ることができた。
感想:
衒示的なところが鼻についてしまうのだけれど
かと言って、それが説に反論する根拠にはならないし
なるほどそうか!と納得するところもあり、
「ただなんとなく娯楽として読んでいた」
村上春樹作品を
あらためて噛み締め味わう余地を得た。
言われてみれば、
村上春樹の作品には
父が不在である。
そして僕自身、
村上春樹の作品に
体温を感じず、
加藤典洋さんが言う
ここには「人間は生きていない」
という批評には、
同意する。
でも
僕にはそれは
欠落というよりは
ひとつの「チケット」
に感じるところがある。
「これは夢ですよ」
という証明のようなチケット。
それを握りしめているから
安心して没頭し、
安心して帰ってこられる。
それが村上春樹の作品に通底して
ある欠落の意味じゃないかしらと。