著者のAmy Cuddyさんは、彼女の自身のプレゼンスが素晴らしいので
読んでいて楽しい。まずはTEDで彼女の姿と立ち居振る舞いを観て欲しい。
彼女のプレゼンしている「パワーポージング」の効果は、残念ながら出版後、他の科学者たちによって否定されています。彼女のオリジナル論文の共著者であるカリフォルニア大のダナ・カーニー博士が、パワーポーズに関する否定的な文章を発表までしちゃっています。
それでもこの本を読んだ理由は2つあって、ひとつは「パレオな男」ブログの鈴木祐さんが、
本の前半は、ほぼ「プレゼンス」の説明に使われてるんですが、心理学における「自信」研究の総ざらいみたいな感じで楽しく読めます。要するに、たんに自分の価値を信じられるだけでなく、すべての要素がスムーズにリンクしていないとプレゼンスにはならないんだ!って話でして、このあたりは激しく納得でした。
と紹介していたからです。
著者のエイミーさん自身もインポスターシンドロームに苦しんでいたとのことで、自分の力を発揮することを妨げる「自信の無さ」をどう克服するのか、という試行錯誤の結果、得ていった知見には触れるのはとても価値がある思えました。
実際に、下記の文はとても説得力がありました。
True confidence stems from real love and leads to long-term commitment to growth. False confidence comes from desperate passion and leads to dysfunctional relationships, disappointment, and frustration.
(真の自信とは、本当の愛から生まれ、そしてそれは長期間に渡って成長を促すコミットメントにもなります。しかし、必死に努力することで獲得される自信は、正しい自信とは言えず、それは、人との関係性の不具合や落胆、不満を生じさせるものになるのです。)
つまり、言い換えれば、頑張ることによって得る自信というのは、「自分はこんなに頑張ったから成功した!立派になった」というもので、それは、頑張らない人、できない人、まだできていない人たちを否定してしまう自信になってしまう、ということです。
身の回りを眺めてみると思い当たる方がいるのではないでしょうか。わたし自身、そういう傾向があった気がします。(別に成功したって思ってないですけど。)
それに比べて、愛によって生じる自信、とは何かというと「セフルコンパッション」に近くて、もう今すでに、
「それでええんやで。生きているだけでジブン十分に立派なことだし、そんなあなたのこと、すきやで」
という思い(その主語は他者であっても、自分であっても良い。という自分である必要がある。)から生まれる自信ということになります。
この辺の知見を多くまとめているので、それだけでもこの本を読むに値すると思います。
思いの外、人は皆、なんだかんだ苦しんでいるみたいですね。
そこから開放される、または上手く付き合っていく方法をこうやって得ていけるのは嬉しいものです。
大田 2019年136冊目