佐藤オオキ氏の主宰する「デザインオフィスnendo」のプロジェクトの中で、ボツ案になったものが見られる本。数、質、スピードの3つ全てを満たす提案をしている事務所というだけあって、掲載されているスケッチだけでも凄まじい量だと思った。
私たちデザイナーが、クライアントに対して説明をするときは、主に言葉を使う。でも、スケッチは時として言葉以上に雄弁で、何よりわくわくする。自分自身が提案をするときにも、もっと絵(ラフスケッチ)を使うことを意識して、わくわくしながらクライアントとコラボレーションしたいと思った。
「できるだけ短期間で、複数の詳細案を提案する」というのがnendoのポリシーだそうだが、複数の案がボツになる中で、どうやってプロジェクトの「正解」を導くのか、そのプロセスが垣間見られたのも興味深かった。文字を読むところは少ないが、言葉よりも雄弁なスケッチがたくさん見られる。物作りに携わる人なら一度目を通して損はない本だと思う。