身体論から捉えた吃音の本。吃音が起こるとき、体に何が起こっているのか。吃音を回避するための「対処法」が、新たな吃音の「症状」となって現れるとはどういうことか。「連発→難発→言い換え→ノる→乗っ取られる」という本書の畳み掛けるような構成が非常に面白かったです。
吃音を抱えるということは、取りも直さず「思い通りにならない自分」と向き合い続けることである。自分は隠れ吃音だが、この本を読んで吃音を抱えることも悪くないとすら思った。
ところで吃音を扱う最近の作品だと、映画「英国王のスピーチ」や漫画「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」などもお勧めです。
さらに蛇足ですが、表紙および中に使われているイラストがとても素敵。装丁は加藤愛子さん、イラストは三好愛さん、とのことです。