原題の副題が“A Brief history of Capitalism”なことから、経済版のサピエンス全史という売りが伺える。
サピエンス全史の英語版のタイトルは“A Brief History of Humankind”。
著者のヤニス・バルファキス氏は、経済危機のときにギリシャで財務大臣を勤めていた方。彼が娘に
「どうして格差というものがあるのか」
ということを説明するために書いた本。
その答えは、端的に言えば、
余剰。
お金、というのは、本質的には幻想で、
その幻想を共有しているもの同士でなければ成立しない。
その幻想の正体のみならず、
弱点にまでこの本の内容は及んでいます。
『モモ』や『ネバーエンディングストーリー』の著者であるミヒャエル・エンデが、警告し続けてきた貨幣制度の欠点とほぼ一致する内容でした。
読みやすいし、ぐいぐい引き込む力があり、経済にうといと敬遠する気持ちがあっても楽しく読める本だと思います。
(2019年 大田 66冊目)