Amy Cuddy博士同様、またTEDつながりですが、Ricardo Semlerさんは、小さなファミリー企業をブラジル屈指の大企業にまで大きくした経営者で、TEDでのトークが有名です。
動画は20分。
彼は、複雑化する企業の成長傾向をまっこうから否定して、ルールを無くしていく、ということをしてきた方です。
「お金がいっぱいあるときには時間がない。でも時間ができたときには、(つまり退職したあたりかしら)お金も体力も少なくなってしまっている。それについてどうしたら良いか30年考えて続けてきた。だから、退職してから、祈願の山登りをするんじゃなくって、来週したらいいじゃん」
という考えに、自身の癌家系というリスク経由で、至ります。
パタゴニアも近い哲学を持った企業だった気がします。
リカルドさんは、毎週、月曜日と木曜日に、How to die、死に方を考えるターミナルの日、つまり人生最後の日々として過ごすようにしているそうです。
その日に、お医者さんに「あなたはもう長くはないよ」と言われたときにしておきたいことをしちゃう日と考えているそうです。
「アリとキリギリス」でいうところのキリギリスに努めて成っていきましょう、とも言えるでしょう。
結果どうなるかというと、
「やりたいことをやったリスト」が増えていくそうです。
ハワイでぼうっと過ごす? やったなー
エベレストに登る? 麓までは行けたなー
子どもたちと心ゆくまで過ごす? けっこうやったなー
と。
それって大事なことじゃないでしょうか。
かなり核心をつく考えなんじゃないでしょうか。
わたしたちは、兎角、社会貢献や自分の才能を使うことに躍起になります。
経営者ならなおさらでしょう。
家族との時間より多くの社員たちの生活を守るために不眠不休で頑張らないと!と思いがちです。
でも、それこそ「ターミナル」といわれる死を待つ人たちがいる施設でのインタビューで良く聞くのは、
「もっと自分の時間を大切にすればよかった」
という言葉なのだそうです。そこから、わたしたちは学んだほうが良いのではないでしょうか。
ひとりで頑張らずに、みんなで頑張れば、いいんじゃないでしょうか。
ということで、じゃあ信じあってやってみっか!
というのが、リカルドさんの編み出した経営スタイルでした。
出勤時間の管理もしない、
何日休むかも管理しない、
どこにいるかも報告しなくて良い、
給料も自分たちで決めて良い
と。
数千にもいる会社なのに。
リカルドさんは、この試行錯誤を
Looking for wisdom
と表現していました。
Wisdomは、叡智と訳すのでしょうが、本質を言えば、
「偏見や思い込みを取っ払うと見えてくる本当に大切なものを見つける眼」
ということになるでしょう。
そんな彼が、wisdomをみつけるために簡単な方法を紹介しています。それは
Whyを3回繰り返すこと
実際に著書の中では、何度もwhyが出てきます。
一番最初に出てくるwhyはこんな感じ。
Why are we able to answer emails on Sundays, but unable to go to the movies on Monday afternoons?
(わたしたちは、日曜日にEメールに返信はできるのに、どうして月曜日の午後に映画を観に行けないのか?)
翻訳された中古本がやたら高かったので英語で買いましたが、翻訳本もあります。
今年読んだ本のベスト3とか5に入る本でした。
大田 2019年137冊目