オスマン帝国は、鎌倉時代に生まれ、大正時代に消えた大国。
その領土から生まれた現在の国の数は30を超えます。
佐藤優さんの『大国の掟』では、歴史と地理で世界情勢の根本的な構造を理解すべきと啓蒙されています。
そういう意味では、わたしたち日本人は、宗教の違いとともに、今なき大国が残した歴史の潮流を少しでも理解しておくのは、これからさきとても大事になってくるのではないでしょうか。
薄くて手に取りやすい本書ですが、この一冊だけでは、どうもうまくオスマン帝国のことが理解できそうもありません。
いくつかの本を読んで、立体的に理解できるとその全貌が少しは把握できるようになるかなと思いました。
弊社の近くには、日本で一番大きなモスク、東京ジャーミイがありますので、トルコ、イスラムの文化を垣間見るには機会が得やすいです。
アラビア文字のカリグラフィーを「ハットサナト」と言います。
モスクのいたるところに、このアラビア文字の「ハットサナト」が模様のように描かれています。なんと書かれているのかわかりませんが、そこに言葉として意味のある模様に囲まれるのは、知らずに荘厳な気配に取り込まれそうな心持ちになります。
ところで、チューリップの語源は、女性が使うターバンを意味する「トゥルベント」というトルコ語に由来しています。
また、オスマン帝国の徴税請負精度については、村上春樹の小説でもちらっと出てきます。
もっと深く理解したいなぁという動機を得た本でした。
2019年 大田106冊目