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すごい経営者のスタンダードを学びつつ
わたしは違うスタイルで人生を試そうと思う
孫正義さんと一緒に通信業界の価格是正に挑んで成功した、大久保秀夫さんの自身を振り返っての「決断とは」という啓蒙書。
小説のように引き込まれて読んでしまう。田中修治さんの『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』を彷彿させる、ハラハラといながら読み込んでしまう経営物語。
だども
ずっと思ってきたのだけれど、「寝食を忘れて深夜まで働き、がむしゃらになって何かを世界を変えることを成し遂げる!」って、なんとなく正しくないのではないかと。いや、これ以外の選択もいろいろあるんじゃないかと。そして、そのいろいろのなかからわたしは、進化心理学を選び、「自分の心身がベストな状態が一番良い仕事をするのではないか」という仮説をしばらく検証してみようと思っています。
川村元気さんの『仕事。』を読んでも、偉大な先人たちは、寝ないで頑張んっていました。でも、海外に目を向けると企業価値の高い企業の経営者たちの多くは、ちゃんと寝ていました。週末はちゃんと遊んだりしていました。休みもしっかりとります。イタリア、ドイツ、デンマークなど他の国々を観てみてると、働く時間は少なく、生産性は高く、そして家族を大切にして、幸福度が高かった。
あれ?そっちのほうが良くない?生産性だって高いし。
大久保さんのこの本は、戦士のようでした。稲盛和夫という巨像に震えながら直談判する姿など、感銘を受けます。でも深夜遅くまで働いている間、奥さんや子どもたちと過ごす時間ってどうなんっているんだろうか。きっと少なかったはずです。でも彼らには、日本の通信業界を是正するという使命がありました。そのためのなら家族や妻との時間を犠牲にするのもやむなしか。
というのが、わたしの考えです。その偉業も、100年くらい経ってから振り返ってみるとどこにも功績は残っていないじゃないだろうか。というか歴史に名を残さなくても別に良いのではないだろうか。家族を大切にしながら、自分の幸福を保持しながら、社会をより良くすることってできないのかな?いやできるんじゃね?だって効率はそっちのほうが良いはずなんだから。
と。
もちろん戦士のような経営者、パイオニア、アントレプレナーたちはみな尊敬してしまいます。わたしの友人にも寝食をわすれてがむしゃらに日本のある業界を牽引していこうとしている方がいて、彼の年収はわたしよりずっとずっと多い。それでも、わたしは、山に行って一人で過ごしたり、本を読んだり、しっかり寝て、運動して、家族と過ごす時間をちゃんと設けて、ってほうが、わたしにとって正しい、と仮説したまま、研鑽を重ねています。
その姿勢を改めて、「やっぱこれでやってみよう」という気持ちに、これを読んでなれました。
ところで話は飛びますが、森鴎外は、「しごと」を「為事」と書いていました。「仕える事」でなく、「為す事」。
社会に、未来に、会社に仕える事じゃなくて、シンプルに「為す事」が「しごと」というのが、わたし、良いと思います。
(大田 2019年92冊目)