橘玲氏の文体は、
なんとなくなんとなーくパセティックな気配を感じさせる気がするのですが、
説得力があり、総合的にはポジティブな生きる力の力学を説いています。
鳥の目、虫の目、魚の目
ということばがありますが、ミクロマクロその他の目で投資のことを語ってくれます。
別の本(『残酷な世界で生き延びるたったひとつの方法』)では、生き方について、この複合的な視点を総合的にまとめるという流れで語ってくれています。
株式投資の良いところは……
これはこの本には書かれていないことで私見ですが、
というところです。
言い換えると
ということです。
日本の株式市場は午前9時に開き、午後3時に閉じます。
この時間外に起こるニュースや発表や事件は、開くと同時に株価に影響を及ぼします。
FXや海外の株などであれば、海外の市場が開く時間も大事になってきます。
ということで、
投資をしていると為替もニュースも外交も戦争も我が事(自分の資産)に影響を及ぼす話になってきます。
直接的に。
投資はいくらからでもできるので、
世界情勢や歴史や政治や経済に詳しくなりたかったら、
投資会社に口座を開いて、そこにいくらかのお金を入れるだけで、
それ以前よりずっとニュースを良く読むようになるでしょう。
さて、本の内容に戻ると
橘玲氏は(1959年生まれだそうですが、確かなことはわからない。)、実体験を元にもしていますし、
それまで調べたことをきれいにコンパイルもしています。
経験則的に「こうやれば儲かる」という胡散臭い話ではなく、
投資とはなんぞや?ということを、長たらしくではなく、けっこう簡単にずばっと述べたあとに
詳しく解説してくれています。
もちろん、橘玲氏が言うことを鵜呑みにしないで良いでしょうし、彼自身、考えず、調べず、知らずにいる人たちをオブラートに包んで「リテラシーの低い人」と呼んでいます。私としては、橘氏経由で疑問を作って、自分で調べて、確かめるというのが良いのだろうと仮説しています。
それにしても、彼ほど徹底して調べられるかは自信はありません。それでも、私自身も個人投資家でありながら、知識は世界情勢に対してのアリンコレベルなので、少しでも知識を育て、虫の目以外の鳥や魚の目を獲得して、世界の有り様と自分のいる場所と、これから行きたい場所を見つけたいと思います。
経済、投資、経営、というものは、いっぱい知って、いっぱいやって失敗して、少しずつ目が良くなる、というのが思うに正解な気がしています。すなわち人生もそうなのでしょう。
ただし、メンタルがやられると潰れてしまうので(都会に住む方々なら、電車が予期せぬときに停まるたびに、その存在に思い至れるはず)、何よりも自分の心を大切にした上で、ケガをしながら笑って挑戦し続けるのが、素敵なのではないかと思っています。
(大田 2019年 73冊目)