セールスフォース関連。SaaSとは?というよりは、現代にアップデートした営業スタイルについての知見を得られる本。
著者の福田さんは、バリバリのエリートで、そういう教養にあふれている。欧米文学のみならずアジアや日本の教養にも富んでいて、そしてトップランナーとしてビジネスを堪能してきている(ようにみえる)。
ただ、わたしはいつもブランディングについても営業や経営についても思うのだけれど、複雑なモデルは、果たして機能しているのかしら?と。
やりながらならきっとよく分かるかなと。これまた読んでいるだけじゃ、ちょっと理解ができないかもしれない。
それから、引用の仕方から、特にジャック・ウェルチについての触れ方からも、合理の誤謬のような気配を感じた。
合理の誤謬とは、
「理屈としては正しい。しかし理屈に含まれないもののために望む結果にならないこと」
ジャック・ウェルチの下位10%の切り捨てが好例。
わたしは、福岡伸一さんや長谷川英祐さんらを通して、「捉えにくいダイナミズム」みたいなものの余地をいつも持っておきたい、と思っている。その割合をできるだけへらす努力をしながら。
なんだけど、『動的平衡』で福岡伸一さんでたしか「(人間には錯覚があるから)直感ってあかんねんで」みたいなことを言っていた気がする。
それでも、合理とクリティカルシンキングを徹底してなお「なんとなく」も捨てないでいたい。
大田 2019年172冊目