しんどい、つらい、不安なときに読むとまことに染み入る経典のような本。
成すべきことを追い求める人たちにとって、迷うということは少ないかもしれないが、
心が挫けそうになる、吐く相手もいないのに弱音を口にしたくなる、
ということは多々あるのではないだろうか。
そんなとき、道を照らしてくれるのが、松下幸之助さんのこの本だろう。
彼自身が、何度もしんどい気持ちになって、それでも前に進み続けきた道について
説いているのだから。
“blaze the trail”という表現がある。
「新境地を開拓する」という意味なのだけれど、
このイディオムを想起させられたが、日本人のためか
この本の読後イメージするのは、
焼き払われた道というよりは
しみじみと踏みしめてできた獣道のような
土も見えるが草も生えており、大小の石もそのままである道だった。
倫理にかなっていない人たちだって栄えることもあるこの世の中で
真善美を求道することの大切さ、美しさをこの本を通して再確認したい。