もうまさにSNSやテレビを観ていて感じる驚異が「正義中毒」。
その根源を探る姿勢と対処法を紹介してくれている本。
エビデンスベースとは少しいい難い。中野信子さんのエッセイを読むくらいのつもりがちょうどよい。
そしてけっこう得るものがありました。
わたしの偏見かもしれませんが、女性の科学よりの本には、「これこれが故にこれ」というロジックよりも「だいたいこういう感じ」というヒューリスティックなプロセスの見せ方をする方が多い気がします。たとえば黒川伊保子さん。それは良いことだと思います。そのロジックもなんとなくもどっちも大事だとわたしは「なんとなく」思っています。
この本を読んで得られるのは、端的に言えば「メタ思考」。ついついわたしたちは、悪を攻撃することに夢中になってしまいますが、(昨今なら立憲民主党の石垣のりこさんの大事な時に体を壊す癖がある危機管理能力のない人物」発言の炎上など)この本を読むことで
「あれ?これ正義中毒じゃね?」
と気づくことができるようになります。もうそれだけでかなり儲けものな本じゃないでしょうか。加えて、ヒューリスティックながらかなり効果が高そうな(これからやってみるので、想定ですが)対処法も得られます。例えば、「普段絶対読まない本を買って読んでみる」など。これ奇しくも先日わたし、ラファエルというYoutuberの方の本がそれに該当していて(これ以外もときどき、苦手に思う人の本を読んでいます)、やはり自分の世界が拡張した気がします。
それ以外にも普段通らない道を通って帰るなど、手軽な対処法がいくつか紹介されています。SNSなどに参加していると好まない情報や人をどんどん排斥していきますんで、世界がずいぶんと偏重してしまいます。その是正を積極にやっていくのは大事なことだと感じています。
ちなみにドーパミンを快楽物質だとこの本では解説されていますが、ドーパミンは快楽ではなく「もう少しで手に入りそうな焦り」を作り出すものです。そういう細かい話を棚に上げて読みましたが、わたし好きでした、この本。
大田 2020年215冊目(通算573冊)