「神の見えざる手」のアダム・スミスが国富論を出版したのが1776年で、その17年前の1759年に出したのがこの『道徳感情論』。
原題はThe theory of Moral Sentiments
人間の観察研究。利点と欠点、報酬と罰など対比的な捉え方が全般的にある。人間の共感能力が、人間の行動にどのような影響を及ぼすのかということを観察し、考察しまとめたもの。『国富論』はこの考察の延長線上にある。
人間の共感の力が、利己的なものと繋がっていくという点では、ドーキンスの『利己的な遺伝子』にも通ずるものがあると思いました。
古典派経済学の祖であるアダム・スミス氏は、元来、哲学者だということをこの本でがっつり知ることができますが、同時に哲学というよりは科学者的な観察を通して人間を観ているとも感じました。
知っているつもりがほとんど知らないことがこんなに多いのかという驚きを本書で体感しました。別に読む必要もさしてない気がしますが、アダム・スミス氏を名前以上に知れてよかったです。
大田 2020年175冊目(通算532冊)