クロード・ドビュッシーの「月の光」という有名な曲がありますが、このタイトルはヴェルレーヌの詩集から来ています。ドビュッシーのほかにもモーリス・ラヴェルも題材にしています。
すったもんだありながらも結婚したのに結婚して1年後にアルチュール・ランボーと知り合い、そこからどんどん不幸になっていきます。デカダンスを地で行く人生です。
人が堕ちていく、その姿を見ていくのに最適の詩集です。
堀口大學による翻訳になりますが、「月の光」の最後の二行を引用します。
「噴水の滴の露を歓びの極みに悶え泣きさせる
かなしくも身にしみる月の光に溶け、消える。」
この詩とヴェルレーヌの生涯を思い浮かべながら、ドビュッシーの「月の光」を聴くと情感が高まります。
デカダンスは甘い罠ですが、そこに身をやつせずとも学び、堪能できるやもしれません。
大田 2020年41冊目