著者の山口周氏は、電通からキャリアをはじめて、アメリカの戦略コンサルティングファームの
コンサルタントを経て、現在、リーダーシップ育成行うヘイグループに所属されている方です。
1970年生まれて、twitterはなかなか辛口ですが、いつも
論拠を明確にしたアイデアを展開されています。
著書も多いですが、数学関係の本は、東大工学部の同名の教授によるものだと推測します。
この本は、タイトルどおり
転職をしようと考えている方に向けて
ジャストミートな内容なのですが、
僕も含めて、転職を考えていない方も
楽しめる内容です。
何をどう楽しめるのか?
とてもざっくりと言えば、
「スマートな生き方」を
模索するとはどういうことか、
ということをトレースできるところが
楽しい。
内容は、
スタンフォード大のジョン クランボルツによる
「計画的偶発性理論」を背骨にして、
山口さんの豊富な哲学よりの知識や経験で
肉付けされたものです。
「計画的偶発性」とは、何か。
冒頭にもクランボルツの研究の紹介がありますが、
アメリカのビジネスマン数百人に調査した結果、
キャリアの形成のきっかけは、80%が「偶然」であった
ということを明らかになりました。
偶然?
じゃあその偶然をどうやって形成したら良いのか?
という話になります。
詳しくは、
この本に譲るとして
5つの特性が
望ましき偶然を作る
とクランボルツは問いてます。
(クランボルツの『その幸運は偶然ではないんです』にももちろん、詳しく書かれています)
これだけでも
なんとなく示唆に
富んでいますよね。
脳科学者の中野信子さんの著書にも
ちょっと似た内容のものがあります。
『科学がつきとめた「運のいい人」』
また、
転職にからめてですが、
生きていくうえで
こう考えたほうがベターだ、
というものとして
「長期的に考え、短期的に行動せよ」ではなく
「長期的に行動し、短期的に考えること」と説いています。
長期的な行動とは、習慣を意味しています。
世の中は、
常に変化しているので
長期的に考えても
状況が変わってしまう。
しかし先に挙げた
計画的偶発性を呼び込む特性は
習慣化することができるわけです。
またエビデンスをベースにした
心理療法の重要性を説いた
『心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門』
にも出てくる「平均への回帰」という考えが出てきます。
平均への回帰は、
悪いことがあったら、そのうちに
良いことが起きる、という考えです。
これは、
科学のフィールドでも
考慮に入れられるものだと
知っておくと
何かとより良く生きるヒントになる
のではないかと思います。
最後に、
この本に引用されていた
多読の習慣をつけるべく、
週に3冊は本を読むようにしている
僕の目に痛い言葉を紹介して
結びとします。
「ことごとく書を信ずれば すなわち書なきに 如かず」 孟子