シンギュラリティは来ないということをまず知ることができます。
AIとは、そもそも関数であること、
「AI」と呼ばれているものは、教師データが必要であること、
フレームが必要であること、
等々を知ると同時に、
真の意味でのAIは登場せずとも、人間がしている仕事を近い将来、そのAIに奪われていくというのは避けられなさそうだということ。
その理由が、
読解力のない現代人(子どもに限らない)。
AIは、意味を理解できないのだけれど、
だから「意味を理解する」ということがAIに奪われない仕事をする能力なのだけれど、
その能力を持った人間がすごく少ないということが問題だなのだそうだ。
人材不足なのに、失業者が増えていく、そういったAI恐慌が起こるのではないか、と著者である新井紀子さん(声が高くてかわいい)は説いています。
たんなるディストピアではないように思う内容でした。
ただし、この本で著者が言いたいのは、
怖い怖いディストピア的なAI恐慌が来るで!っていう警鐘ではなく、
AIにできないこと=人間にできること(≒やって楽しいこと)
※カッコ内は私見
ということを理解してそこを教育を通して強化していきましょう!
ということのようです。
AIが進化すればするほど、AIができないことが明確になっていきます。
なのにAIをよく知らない人たちが、まさに戦々恐々として実態をみようとしないと
ハレー彗星におののいて、変なことしてしまった人たちみたいことをしでかしちゃうよ、と。
AIできないことを知ってそこに注力していきましょうよ、と。
彼女の帰結のひとつは、「ブルー・オーシャン戦略」に近いものでした。
そんな流れも得心を強化するものでした。
あと文体も心地よいので、いらないハードルはなかったです。
こりゃ一回読んでおくべきだ本だと強く思いました。
大田 2019年143冊目