BRANDING TAILOR

PRODUCTS商品

プロダクト > パッケージ > CDジャケット: SCOTT GOES FOR /SCOTT GOES FOR 〓

CDジャケット: SCOTT GOES FOR /SCOTT GOES FOR 〓

northern brightの新井仁、原“GEN”秀樹、nudge’em allの坂木誠、ex-Cymbalsの沖井礼二の4人からなるバンド、SCOTT GOES FOR の2012年にリリースされたアルバムジャケット。奇妙なバンド名には厳密な意味はなく、「スコットくんが(何か)取りに行く、(何か)好き」など多義的に解釈できる抽象記号。よってフラットな表情の書体、DINを使ってバンドのロゴを作りました。DINは人気の書体ですが、元来ドイツの工業規格のための書体。ドイツの高速道路などでも使われていますが、読みやすさを追求しており、あまり人間味のない書体でもあるのですが、見ていると少し愛嬌ににた有機性が含まれています。これにアルバム名には「〓」を追加しています。〓は、「ゲタ」と読み(「げた」と入力すると候補として出てきます)、活字活版印刷が行われいた頃、見本印刷刷る際にまだ揃っていない文字の部分を活字(鉛でできた凸型の文字)を逆さにして組んで代用していたのですが、活字は逆さにすると〓として印刷されます。今はまだないという記号として、記号的なバンド名に追加してアルバム名としました。ソフトバンクのシンボルマークにも似ていますが、あちらは坂本龍馬率いる海援隊の隊旗に由来したもので、〓とは異なります。

バンドメンバーたちは、自分たちのバンドですでに活躍してきており、SCOTT GOES FORでは、「小僧の頃には出来なかった事を小僧のようにやる」というコンセプトで結成されており、このこのコンセプトの枕には「いいおっさんが」というニュアンスがあります。そこでアルバム ジャケットには、一見わかりにくくしていますが(購入して広げるとわかります)美しくも格好良くもないおっさんの半裸を使用しています。どれほど腹が出ているのか、という直視せざるを得ない事実を記号として等高線で表し、地図としてあしらっています。乳首には標高がわかる山の記号、胸毛や腹の毛には広葉樹と針葉樹が混ざっている様子も記号で示しています。
用紙にはラップという片面はつるつるで一方の面はザラザラしている、包装用の紙を使用しました。ザラザラしたイメージとそっけない(が愛嬌のある)記号群と体現したビジュアルをマッチさせています。手にすると両面の感触の違いに触れているという実感が生まれます。
盤面は、工業製品らしく、メーカー名や機械のスペックを記載するような雰囲気でデザインしています。
誰も気づかないかもしれませんが、地図の脇の部分には温泉があります。あまり入りたくない温泉ですが……。

Client

LD&K

デザイン費

500,000円(税別)

撮影

大田 忍