お勧めしないのは、素敵な本だし、中古本がお手頃だけれど、これは、おおむねグラフィックデザイナーにしか必要なさそうだから。逆に、活版印刷に興味があるかたは、ぜひ手にとってみるべきないようです。
著者のシャーロット リバースさんは、世界中のデザイン雑誌に寄稿しているライターで、2010年の出版。出版社は『デザインのひきだし』を出版しているグラフィック社。ちなみにわたしの著書『ポン・プルクワ 白黒猫のつづる手記』もこの出版社です。(ぜひお買いもとめを!)
これは、シャーロットさんの本の翻訳版で、原題は“REINVENTING LEETTERPRESS”で、直訳すれば「活版印刷再発明」となります。タイトルどおり、印刷の起源でもある活版印刷が現代では再注目を向けられているのですが、現代における活版印刷の見本を、世界の活版印刷所と一緒に紹介していく内容になっています。
アメリカのデザイン会社、HOLSTEEが作っているマニフェストのポスターがあるのですが、これも活版印刷で印刷されています。
活版は手間暇とお金がかかるのですが、どうしてそれが注目され、今でも使用されているのかと言えば、本物らしさと人のぬくもりがあるからでしょう。音楽で言うところのレコード(ヴァイナル)に近いかもしれません。
世界では、どのように活版印刷が使われているのか、を縦横して観るには、とても良い本です。
色使い、イラスト、書体、使用用途など、いろいろと知ることができます。
また活版印刷を知っていると、こだわり有る名刺やショップカード、メニューを作っている人や企業の、そのこだわりを理解することができるようになるので、悪くないティップスでもあります。
この本では、世界中の活版印刷所が紹介されていますが、日本にも活版印刷を専門に取り扱っている印刷所はけっこうあります。例えば、弊社で作っているこんな名刺も活版印刷と活字をつかって作っています。
(大田 2019年 69冊目)