タイトルがずるい。「予想通りに不合理」なんと興味をそそられるタイトルだろう。
経済学において人間は合理的に振る舞うことが前提とされているが、実際の人間はまったく合理的ではない。このことを理解することによって意図する結果を予測したり実行できるようにしよう、という本。
できれば一気に読みたかったが細切れに読んでいたらなかなか進まなくて1ヶ月以上かかってしまった。2日で読んだヘンテコノミクスのが読みやすかったので、ヘンテコノミクスを読んだ後にこちらをお勧めします。
「必読書」としたのは、経営者または経営と関連したブランディングを提案する側に向けて。
それ以外の方であれば、オススメ。
手に取った理由は、山口周さんの『読書を仕事につなげる技術』に必須図書として一番基本の6冊に含まれていたから。
何度も読んで刷り込む必要があるそうである。
毎月読むようにしないと次読むのは数年先……などとなりそう。そうなっては意味がないだろう。
経営に関したマーケティングの教本であるが、
意外に人生についての示唆をも含むように感じる。
例えば、
SWOT分析(Strengths-Weaknesses-Opportunities-Threats Analysis)について。
企業の強み、弱み、機会、脅威についての分析なのであるけれど、
この脅威、企業にとって恐るべき対象であるが、
「一見すると脅威のように思われることを機会ととらえたり、弱みと思われることを強みととらえ直す多面的な思考が必要である。」
とある。
これが我が身についても同じように考えられる。
生きるということには、競争や共存ということが含まれるだろうから、
企業の反映と生き抜くことには、共通して当てはまることが少なくない。
実例も多く含み、
改訂版には時代にあった解説も追加されている。
それにしても
こんな本、どうやってはやく読めるようになるのだろうか。
神田昌典さんが翻訳しているフォトリーディングという本に着手してみようか。
「働き方改革」という言葉を聞くたびに訝しい目をしてしまうのは、私自身のフリーランス歴が長いせいかもしれない。
そんな中、読み始めたこの本だったが、フリーランスのメリットとデメリットの両方について、これだけ冷静かつ丁寧に書かれた本は今まで読んだことがない。
特にフリーランスの売り上げが年齢とともに右肩下がりになりがちであることや、トラブル対応などの話は、フリーランスとして長く活躍してきた著者ならではの視点だと思う。
業種を問わずフリーランスとして生きる人にとっては、必読の本ではないだろうか。
会社を辞めることは、いつでもできる。もしもフリーランスになることを考えている人がいたら、この本を読んでから決めても遅くはない、と思う。
しんどい、つらい、不安なときに読むとまことに染み入る経典のような本。
成すべきことを追い求める人たちにとって、迷うということは少ないかもしれないが、
心が挫けそうになる、吐く相手もいないのに弱音を口にしたくなる、
ということは多々あるのではないだろうか。
そんなとき、道を照らしてくれるのが、松下幸之助さんのこの本だろう。
彼自身が、何度もしんどい気持ちになって、それでも前に進み続けきた道について
説いているのだから。
“blaze the trail”という表現がある。
「新境地を開拓する」という意味なのだけれど、
このイディオムを想起させられたが、日本人のためか
この本の読後イメージするのは、
焼き払われた道というよりは
しみじみと踏みしめてできた獣道のような
土も見えるが草も生えており、大小の石もそのままである道だった。
倫理にかなっていない人たちだって栄えることもあるこの世の中で
真善美を求道することの大切さ、美しさをこの本を通して再確認したい。
今のところ一番ブランディングについてわかりやすく書かれた本。
大学の講義をベースにしているため、平易な言葉に変換されているが、
それがゆえに削がれた部分より残されたものの上質さに驚く。
大吟醸酒のような。
実例を通して紹介されるブランドの作り方は、
ブランディングという無形のエクイティ(資産)をうまく把握できる教材ではないだろうか。
平易なのに、衒学的なあまたのブランディングの本よりずっと大切なことが書かれている。
意外なことにビジネスに役立つ読書についての本をいくつか読んでもその名が挙がってこなかった「孫正義」の名前。
ForbesのNo.46でテレイグジスタンスという会社のCEO、富岡仁という方の話(すごくおもしろい!高校を中退してバイトに明け暮れている最中、母親に「親戚の結婚式があるからカナダに行こう」と誘われてカナダに行くも、翌日彼のパスポートを持って母はひとり帰国。強引に富岡氏をカナダに置いていく。そして勝手に高校の入稿手続きを済ませていた。お母さん、凄い。その後も母が送ってくるものはすべて本で、孫正義、本田宗一郎、稲盛和夫など起業家の本ばかりだったとか。)の中に(括弧の中で書いたとおり)孫正義の名が含まれていた。そして「暇だから読むんですが、孫さんの本を読むと、俺、何やってんだという気持ちになるわけです」と。
そんなわけで買って読んでみました。
孫正義さんが書いた本というのは無く、そして孫正義の名の入った本はいっぱいあるので何を読んでいいかわからなかったので、迷うより適当に選んだ。
読みながら富岡さんの「俺、何やってんだという気持ち」という気持ちを理解した。
本田直之氏も読書に関する本の中で理論の本より社長たちの経験談のほうが為になる、と述べていらしたが、それも実感しました。
頑張らないといかんなぁ、と強く思うので、松下幸之助さんの本と合わせて読むとバランスが良い。松下幸之助さんの本は、染み入る。副交感神経のよう。孫正義さんに関するの本は交感神経のよう。
ただ社長室室長の三木 雄信さんが著者なので熱い。メタ視点ではない。ファン心理に近い熱情交える文体と視点。でもそれは孫正義をそばで観てきたことで感じたものであるので、貴重な体験を拝借しているとも考えられる。
デザイン入門書のロングセラー。「デザイナーではない人のためのデザインの定番基本書」と銘打っているが、デザイナーにも一読をお勧めしたい本。ひとつひとつの項目はデザイナーとしては理解していて然るべき内容ばかりだが、これだけまとまった内容に目を通すことはかなり有意義だった。
(事例の画像/デザインが古めな雰囲気なのはどうしても気になる。が、やはり時の洗礼を受けた良書を押さえるのは重要だなと思った。)
世界的に有名になった6つのブランド、
スターバックス、デル、ウェッジウッド、エスティ・ローダー、ハインツ、マーシャル・フィールド
の来歴を紐解く本。
ジャンルを「ブランディング」としたが、経営の書でもある。
原題は、Brand Newであるが、「ザ・ブライド」の邦題は、内容と乖離していない。
分厚い本であるけれど、読みやすい。
ブランドを築き上げてきた起業家たちの共通項は、「やめない」であった。
ミッションを背負って走り始めた人たちは、じきに永久機関となる。
先に著者の「考える技術」を読んでいたのだが、文中に「企業参謀」という著書の話が登場し、それを読んでいる前提で話が進むような部分があった。
それなら「企業参謀」を読んでみようと思ったのだが、この著者の文章は私にとっては非常に読みづらかったため、もう少し内容がライトなこの「企業参謀ノート」を手に取ることにした。
物事の分析のステップを読み進めるたび、自分の頭の中は論理的思考とは程遠いと感じる。でもそんな私でも、この本はわかりやすい図解や説明があるので、あっという間に読めた(見開きの左ページは大きな見出ししか入ってないので、文章量が少ないせいもある)。
ちょっと自己啓発的な要素も含む一冊。著者の物言い(「〜しなさい」)が若干鼻につくが、勤めているか自営業かに関わらず、仕事をする人間なら読んでおいて無駄にはならない本だと思う。
「銀河鉄道の夜」より好き。
山猫博士のボーガント・デストゥパーゴというキャラクターが好き。ハラハラしながら読みつつ、情景を想像しながら、いつか実世界でポラーノの広場のような場所を見つけてみたい。または作ってみたい。
自然の有り様と都市の有り様の混在と機微とストーリー。
青空文庫なのでkindleで無料で読める。
1971年の本であるが、今なお書体をデザインするなら、とても参考になる。
デザイナーがオリジナルの欧文書体を作るときに、幾何学的な書体になることが多いが、そのさい、いくぶん不揃いに感じる部分が解決されないままであることが少なくないように感じてきていた。それは、視覚的な調節や書体デザインの基礎的な知識の欠如に起因しているのではないかと推測している。
それらを補ってくれる基礎的な知識が、この本からは得ることができる。
神田 昌典氏の「バカになるほど、本を読め!」で紹介されていたので読んでみた。ご近所の豪邸に住んでいらっしゃる柳井正氏のライフサイクルを参照したくて読んだが、他にもいろいろと参考になる話がある。しかし時間の管理というテーマで複数の著者からの集めたコラム集のため、玉石混淆であり、読んだ方が良いもの、さほど読まなくても良いものが混在している。故にさらっと読めてしまうのが良い。
偉業を成し遂げた人であまり本を読まない人は、イチロー以外にほとんど思いつかない。そんなわけで本を読むということはとても重要な自己投資だということの理解は簡単なのだけれど、その実行は、理解よりずっと労力を必要とする。だから「読んだ方がいいことはわかっているが、忙しく読めない」と考える人が多いだろう。しかしこの著書によれば「本を読まないから時間がない」 ということになる。
本の読むことの重要性、その読み方、読んだ後の情報の整理の仕方(これは山口周氏や梅棹忠夫氏の記録方に通じる)などがわかりやすく噛み砕かれて書かれている。
この本ではなく、雑誌ForbesのN0.44に載っていたウォーレン・バフェット氏の名言の中に「他のすべてよりも大切な投資が有ります。自分に投資することです。自分の弱さに向き合うこと——。それも、今すぐに、です。」という部分がある。読書は、一番わかり易い、定量的にも評価できる自己投資です。
宮沢賢治を「注文の多い料理店」以外読んだことがない気がして、まずは代表的なこの作品から読んでみた。
例えば聖書やシェークスピアのように、宮沢賢治も引用されることが多いので、一通り読んでおいたほうが良いと思ったのもきっかけだが、短いのにすっとここではない別の世界の中に入っていける。著作権が切れた作品のテキストを入力して無料公開している青空文庫のものをkindleで購入したので無料。
草いきれや風の匂いもかげそうな、濃密な描写は読後に美味しい料理を食べたような満足感があった。
ラベンダーという名前は一般的に知られているけれど、ラバンジンという名前に馴染みのある人は、ハーブやアロマテラピーに造詣の深い人なのではないだろうか。
イメージ画像などで「一面のラベンダー畑」として写真に使われるのは、ラベンダーではなく実はラバンジンであることが多い。
高所で育つ真性ラベンダーに対して、少し低いところに育つラバンジン。真性ラベンダー(Lavandula angustifolia / L.officinalis / L.vera)とラベンダースパイク(Lavandula latifolia)の交配(交雑)種と言われる。
香料産業の中で、ラバンジンが収油率の高さからどんどん栽培されるようになったこと、種では育たず株分けしていく形でしか育たないことなど、ラベンダーやラバンジンの歴史や育ち方も含めて勉強したい人や専門家なら、ぜひ一読をお勧めしたい。
単なるアロマ愛好家だと、図版が少なく退屈に見えてしまうかもしれない。使われている言葉は柔らかいけれど、限りなく学術書に近い本だと思う。
※カッコ内は植物の学名なので、本来はイタリック表記です。
ジャンルは、経営・経済。
これのどこが経営に関する本かといえば、リーダーシップのモデルとなるから。そう推薦されていたので手に取ったのだけれど、これがまた小説のようにハラハラしながら読み進めてしまうドラマだった。実感するのは、大変なときこそ、ちゃんと温かいものを食べて飲んで、ちゃんと寝て、陽気でいることが大事、ということ。アーネスト・シャクルトンキャプテン、ワイルド、クルーたち、みな凄い。読んでおくと強くなれるはず。この本から学ぶべきことはリーダーシップというより生き方かもしれない。
ジャンルは、経営・経済。
「必読書」としてるけれど、そもそも読書の目的によって読む本は変わってくるものだから、目的を明確に示したうえで、お薦めしたり、必読書だと断言したりするべきなのだろう。大田の場合、「経営とデザインの距離を縮める」ことを弊社のミッションの一つとしている。ビジュアル制作を含むブランディングは経営戦略の一環で行うものである。しかしアートを至高のものであり、勉学や日常と切り離したものとして取り扱い続けてきた日本において、経営はデザインに対して門外漢として接しがちである。また一方でデザインをする側も制作のクオリティを追求するも、それが経営とどのように関わっていくものかということにまで意識が及ばないことが多い。この課題を、弊社は率先して解決していく覚悟である。
こういう意味で、この20年も前に出版された本を必読書として推薦する。古くとも経営の基本の理解を基盤にするためには、いくつかの本を深く理解しておく必要がある。その1冊がこれである。根拠は山口周氏の『読書を仕事につなげる技術』。この著書でまず読むべき基本中の基本の6冊のうちの1冊。これから読むなら、新版が昨年出版されたのでそちらが良いはず。よってリンクは新版のほうに貼った。
「kindleベストセラー1位」「Amazon Primeで無料」でなかったら、多分手に取らなかったであろう本。
作者はフリーランスの女性。そんな人がそもそも、どうやったら元FBIの捜査官と出会えるのか?という好奇心だけで読み進めた。
本当にノンフィクションなのか?という点についてはさておき、意外と自分の勉強にもなってしまった一冊。
中でも、旦那さんが作者に対して行なっているビジネスアドバイスは、日本の働く女性なら読んで損はない部分だと思う。FBI捜査官のプロファイリング術を自分の仕事に応用する方法、自分の見た目が相手に与える心理的作用、青信号の点滅で急がない理由などなど…。これを読んで、今よりヒールの高い靴を買いに走ったのはここだけの話。
表紙デザインの軽さに対して最後はちょっと涙も出るような、いい意味の「予想外」な本だった。