幸せがどういうふうに形成されているかを解説してくれています。
恋愛同様、なんとなく精神的なものとしてほうっておくのではなく、科学的に「幸福」ってどういうものか、を知っておくと「形成」しやすくなります。
具体的に言うと
幸せの構成割合は
遺伝子が、50%
環境が、10%
意図的な行動が、40%
金持ちか貧乏、出自、国、容姿などは10%の「環境」に含まれるものなんです。
こんなふうに結構な思い込みが、本当の幸福から我が身を遠ざけて考えがちなんです。
40%の意図的な行動で、わたしたちの幸福度は向上させれるわけです。さらに環境の変化にまで行動は及びますし。
大田 2020年45冊目
エリック・サティについて調べいたら、彼が、ロシアのセルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスのために作曲したのがバレエ「パラード」。
このとき舞台衣装や美術がパブロ・ピカソで、台本がジャン・コクトーでした。
エリック・サティについては、
【良いモノ・アーカイブ】№57 Erik Satie(エリック・サティ)_音楽
も参照ください。
ジャン・コクトーってどんな詩人か知りたくて着手。
絵本の「おかしな家族」なら読んでいましたが、詩も読んでみたく。
翻訳なので、ジャン・コクトーの詩のリズムや気配とは大きく異なるのではないかと思うも、
少しでも知りたいならと読んでみると堀口大學によるパロディくらいと考えて読めば楽しい。
ジャン・コクトーはかっこいいなぁと思ったのですが、アヘンに参って入院していた時期もあったのですね。
ココ・シャネルとも交友があったとか。
1910年前後のパリをもっと良く知りたいものです。
ところでバレエの「パラード」は、評判がひどく悪く、いろいろ投げつけられたのだとか。
なのに舞台芸術に本腰をいれて、道化芝居『屋上の牡牛』を書き、好評を得ています。
ナイーブなのか不屈なのか。たぶん両方。
芸術のデーパトと言われるほどの多彩についてももっと知りたい。
大田 2020年44冊目
作者の大童澄瞳さんの名前の読み方は、「おおわら すみと」。
アニメがおもしろいんです。
どうおもしろいのかというと「好きなことに夢中になりたい!」人たちに、「それだけじゃやってけねーから」とマネジメントする存在が加わってどたばた前に進むところがです。漫画の進行は、アニメよりゆっくり。
やりたいこと+金+しがらみ
この組み合わせがリアルでありファンタジーなんです。
大人だってここから得るものは多分にあります!
2020年3月現在で5巻まで出ています。
あ、アニメのオープニングが、Chelmico(チェルミコ)って日本のラップの二人組なんですが、良いんですよ。ミュージックビデオも。
監督は、
田向潤さん
大田 2020年42冊目
クロード・ドビュッシーの「月の光」という有名な曲がありますが、このタイトルはヴェルレーヌの詩集から来ています。ドビュッシーのほかにもモーリス・ラヴェルも題材にしています。
すったもんだありながらも結婚したのに結婚して1年後にアルチュール・ランボーと知り合い、そこからどんどん不幸になっていきます。デカダンスを地で行く人生です。
人が堕ちていく、その姿を見ていくのに最適の詩集です。
堀口大學による翻訳になりますが、「月の光」の最後の二行を引用します。
「噴水の滴の露を歓びの極みに悶え泣きさせる
かなしくも身にしみる月の光に溶け、消える。」
この詩とヴェルレーヌの生涯を思い浮かべながら、ドビュッシーの「月の光」を聴くと情感が高まります。
デカダンスは甘い罠ですが、そこに身をやつせずとも学び、堪能できるやもしれません。
大田 2020年41冊目
東京ならパレルホテルのなかに店舗もある、フローリスト、クリスチャン・トルチュの作例と哲学が読める本。
古いのが、ススメない理由で、得るものは多い。
生花の有り様というものは、一通り、ぷるの手によるものを見ておいたほうが良い。
テクニックや基本をおさえなくても良いのから、
花の人の手を介した有り様をざっとしておくと、それをより一層楽しめることはもちろん、花の整えられた姿に注意が向くようになる。
ラグジュアリーホテルのロビーは、かならず花が壮大に飾られています。
限りあるものの「美しい姿」をそこに提示するという姿勢が、ラグジュアリーを体現しているわけですが、飾り方に哲学を盛り込んでいる。
空間で、ラグジュアリーを体現しようとするとしつらえの他に、花と火だとわたしは思っている。
「万物流転」を世界の有り様だと説いたのは、ギリシャ哲学者のヘラクレイトス。かれは、世界の背後にロゴスがあり、ロゴスは火である考えていたそうです。
なとなく繋がりが見える気がして気になりますね。
大田2020年40冊目
長年、シャネルのクリエイティブディレクターだった故カール・ラガーフェルドの愛猫の写真集。
写真は、写真として心打つようなものではなく、ネコ好きの人に見せられる「ねえかわいいでしょ?」という写メレベル。
それを天下のSteidlでプリント、製本している。
すごい飼い主バカぷりが、心地よい。
もちろん、べつにおすすめしない。
製本とプリントの素晴らしさを堪能できるが、それなら他のSteidlの本を買ったほうが良いと思います。
大田2020年39冊目
1920年生まれのスイスのグラフィックデザイナー、Armin Hofmannのグラフィックデザインに関するマニュアル。
というかプリンシパルと練習のための教科書。
Josef Müller-Brockmann (ヨゼフ・ミュラー・ブロックマン)のGrid Systems in graphic Design (1981)とと通じるものがあり、スイスのグラフィックデザインというものがどういう構成要素からなりなっているのか理解しやすくなります。
秀逸なのは、音楽などの目に見えないものを視覚化する手法のひとつを実績として残してくれているところ。
数ヶ国語を併記しなくてはいけないというスイスの制約も、グラフィックデザインを昇華させることに一役かっています。
わたしはデザインとアートを一所懸命に分けなくてもいいと思っているのですが、Armin Hofmannのこのマニュアルを見ていると
デザインの目的は機能
だということを痛感します。
一方でアートは、
人の心を動かす(ことで作者や見るもの同士を結ぶ)表現の追求
です。
それだって機能なんですが、デザインにおける機能とは、制作者の内側が動因、動機ではなくて、他者の意図を解釈および表現のプロフェッショナルが成立させようとしているもので、アートの機能は、受け手側の解釈で成立するもので、本来は、無自覚に結びつきを希求(求める)した探求の結果のひとつに過ぎない。
なんでもいいけど。
で、デザインもアートもどっちも大事だなーと考えてるのだけれど、経済やビジネスは、ときどきデザインをさほど必要としない場面がある。それをわたしはちょっと明確にしていきたい。
ともかくこの本は、グラフィックデザインに携わるなら、ざっと目を通したほうが良い本ではあります。
大田 2020年38冊目
雑誌『リラックス』で連載していた渋谷直角さんの妄想コラムとそれに合わせた佐内正史さんの写真を
コラムをほとんどなくして写真にフォーカスした写真集です。
2005年の出版ということで15年も前のもので、載っている女優やタレントたちの何人かは、逮捕されたり、消えてしまっていて、その隔世の感も楽しめた。
でも、やはりこの写真集の凄さというか魅力は、プロモーションのためではなく、密かに憧れ恋心(と性欲)を抱いた青年の視点で若い女優たちを撮っているところでしょう。
ああ、恋ってこんな感じだったかなーと思い出さなくもない。
眺めていると隔世の感を乗り越えて、
「あーデートしたなー」と
思うので、いい具合に活性化されるやも。
女性にその効果が及ぶかはわからないけれど。
タイトルは、もしかしたらピチカート・ファイヴの曲か歌詞だったかも。
大田 2020年37冊目
自分たちも顧客として捉える姿勢は、滅私という姿勢は、崇高に見えてサスティナブルではなくて徐々に何か大切なものを損ない続けていくのに対して、サスティナブルに自他を幸福に導くものだと再確認できた本でした。
近く、リッツ・カールトン東京を訪れて、再びそれらを追体験してきたいと思います。
いくつかの感動するエピソードを含んでいます。
何度か繰り返し読もうと思いました。
ナディーヌ・ロスチャイルドの『ロスチャイルド家の上流マナーブック―ナディーヌ夫人が教える幸せの秘訣 』という本の冒頭を想起しました。自分にこそ家の中にあるもので最も良い食器を使うべきという。
大田 2020年36冊目
こちらはなんとなくあまりおすすめしない。
同著者の『サービスを超える瞬間』はとても良かった。
大田 2020年35冊目
空間デザインに関わらない人には、専門的な話が多すぎるかもしれないけれど、それでもたぶん自分が接することのある世界の裏側を知れて得るものがあり、得た結果、人生が変わるのではないかと私は思う。
例えば、六本木ヒルズや東京国際フォーラムなど。その照明デザインに関わる面出薫さんが、行政や規約と戦い、快適な照明デザインを敢行していることを知れば、光のリテラシーが、比較的低い(明治以降そうなったんじゃないかな。それこそ谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』がそれを象徴している)我々日本人の生活も向上するかも。
照明の話なのに、ダークライトとか闇のライトアップなど、逆説的な表現が多い。闇の大切さは、光の大切さを成立させるのみならず、自然へのアプローチでもあるから。
わたしは、月に一度、森に一人でキャンプをして過ごしているのですが、闇の深さや月明かりの強烈な明るさを何度も体験しています。
その体験は、都会での生活にも大きく影響しています。どう影響するのかといえば、それは「不自然なものをこれは不自然だとわかること」。
大田 2020年34冊目
1904年、北海道函館生まれの画家。画集と文集。
飼い猫のタローについての話が面白いのだけれど、その筆致は画風に合致しています。
若い頃はまだ何かしらの(そして同郷だからそう思うのかしれないが、北国らしき憂いを含んだ)懊悩が見て取れる。
次第に開いて健やかになっていく画風に、それでいて懊悩や憂いの名残が含まれていて、それが絵に奥行きをもたせているし、長谷川潾二郎さんのシグニチャーにもなっている。
猫好きなのに、猫の絵をあまり描かない。
静物画が多く、その多くにアトリエの窓が、花器などに写り込んで言外に場所の共通を見て取れる。
柔らかいのに冷たい色温度、
写実的なのに二次元的、
明るいのに憂いを含む。
そのアンビバレンスは、人間そのもの。
絵を描く人なのに、匂いについてこう触れている。
よい画はその周囲をよい匂いで染める。よい画は絶えずよい匂いを発散する。よい匂い、それは人間の魂の匂いだ。人間の美しい魂の匂い、それが人類の持つ最高の宝である。
その実、良い匂いがしそうな絵です。
実際に観てみたいものです。
大田 2020年33冊目
第二次世界大戦後の1946年に世に出た坂口安吾の代表的な評論。
天皇についても遡上にあげるかなり大胆で切り込んだ内容ですが、坂口安吾らしく堕落という切り口で、彼が看破して啓蒙しようとしているのは、
人々の思い込みの存在
だとわたしは思う。桜はキレイだと疑いなく思うなかれ、と。
ある意味、現在、『ファクトフルネス』という書籍が象徴する「思っているのと事実はけっこうかけ離れているってことを知っておいたほうが良い」というムーブメントと似ています。
堕落やデカダンスにそうそう惹かれないが、そこにある重力を否定はしないし、無視もしない。
一種の快楽も見いだせます。
大田 2020年32冊目
平松洋子さん、宇能鴻一郎氏の他に、こんなに楽しい食のエッセイに出会えて僥倖。
阿川佐和子さんが雑誌『クロワッサン』で連載されているとエッセイ集で、Vol.3まで続いています。
これはその1冊目で、2007年頃の連載。
ヨハネス・ブラームスのエピソードのなかに、反目していたアントン・ブルックナーと行きつけの店である「赤いハリネズミ」というレストランで、一緒に食事をして、ともに肉団子が好きだということがわかり、仲良くなった(かどうかまではしらないが、意気投合はしたみたい)というものがあるのだけれど、それを知っても思ったが、食を通して、人生がより良くなることというのはとても多い。
食事ほど問答無用に、幸福にリーチすることが可能な手段ってないんじゃないかしら。(けだし、幸福はそんなに難しいものではないけれど。)
どこで開いても、楽しいし、軽い筆致だし、kindleで持ち歩けば、いつだって楽しくなれる本でした。
大田 2020年31冊目
まいどまいど採算があっている気がしない雑誌ですが、グラフィックデザイナーでこの雑誌を定期的に(全号ではなくても)チェックしていない方がいれば、勉強不足だと言い切って良い。
今回は、気違いじみたテッシュに箔押し(等)をした表紙です。
その他、パチカやOKフロート以外に透ける加工が可能な「メルティペーパーSNOW」が紹介されているところに注目したい。
個人的には、最近注目しているネオン管について特集が組まれていてびびった。偶然が怖い。
大田 2020年30冊目
花と空間の有り様の好例集ともいえる写真集(テキストもあり)。
イギリスのフローリスト
写真のなかで扱われる家具な花瓶も興味深い。
イサム・ノグチの照明もありました。
植栽や花は、空間コーディネートにおいてかなり重要ですが、それらに精通している人はすごく少ない。
ラグジュアリーホテルのロビーにおける花への投資の仕方をみれば、その重要性が理解しやすい。
色気というものは、ファッションにおいては「崩し」で体現することが多いが、空間においては、照明と花かと思っています。
大田 2020年29冊目
「何が成功をもたらすかは言いあらわせない。だが、何が成功を妨げたり、台なしにしたりするかははっきりと言える」
という考えのもと編纂された本。
これを読んで思い出すのは、スティーブ・ジョブスの「何をしてきたかと同じくらい、何をしてこなかったかを誇りたい」という言葉(※1)。
成功する方法ではなく、失敗してしまうやり方を学ぶという考え方はとても有効そう。
ただ、ロルフ・ドベリ氏のこの著書、個人の発言とエビデンスを一緒くたにして紹介しているので、キャッチーだが、彼の主張を鵜呑みにはしないほうが良さそう、という気がしています。
うまくまとめられた52の誤謬にいたる知見から興味を持ったものは、すぐに自分で調べて確かめて、仮説を自分なりに立てるほうが良さそうだと思っています。
時間が経つと情報の信憑性を忘れるため。
気をつけてほしいが、気をつけて読むならオススメしたいくらいわかりやすい!
大田 2020年28冊目
アパレル業界の大帝国、LVMHの時計部門を担当している(いた。2018年に引退。)ジャン・クロード・ビバーへのインタビュー本。
LVMH傘下には時計ブランドとして、ウブロ、タグ・ホイヤー、ゼニスがあり、それらのブランドを統括してきたのビバー氏。
インタビュアーの熱量を若干熱く感じるかもしれないが、世界的なアントレプレナーの思想を伺いしれて学びも多い。
大田 2020年27冊目
Rizzoliから出版されているAesopのブランド本。
創業者が去って以降もブランドがブレることなく、マーケットを拡張し続ける強力なスキンケアブランド、Aesop。
そのブランドがどう形成されているのか、美しいビジュアルや装丁とともに学べる良書。
装丁は、さすがのAesopとRizzoli。
Aesopのデザインワークなどを一望できて良い。
大田 2020年26冊目
原題は『Rebel talent』で「反逆する才能」という意味。
邦題は、キャッチーだが、内容をうまく反映していない。
ルールに従わない重要性を学べます。
そしてそれは結構重要。
大田 2020年25冊目