茶人、木村 宗慎氏のブログの書籍化。いくぶん平松洋子さんの『おもたせ暦』を思い出すのは、ああ、そんな銘菓があるのかーというブランドの発見があるから。
器も楽しい。
茶や和食器への造詣を深めたく思う。千利休のおもしろかった。文化の背景に生き物のように育まれ、変態しながら生きながらえ続ける哲学を菓子と食器、茶道に観ます。
お茶淹れを始めようかなー。
11大田 2020年69冊目(通算426冊目)
Vogueなどのファッション誌のエディターたちによるファッション関係のイラスト集。
ファッションがすでにクリエイションの表現フォームなわけですが、それを再解釈して再表現しているのがイラスト、ドローイング。
それらを縦断してぼんやり見えてくるのが、「ファッションとは?」という問いと答え。答えのほうが、言語化しづらいが体感するものがあります。
敢えて言うなら、「見せたい雰囲気」「纏いたい雰囲気」というものがファッションかも。もちろんそこに哲学も含みます。
なんですが、まとうひとが振りまきたい気配を具現化してくれるファッションというものは、わたしたちにはこれからも一層必要になるのではないかと予感します。
LVMHの堅固な成長も鑑みて。
大田 2020年 68冊目(通算426冊目)
岡崎久彦氏による冷戦時代(1982年初版)に出版された日本に欠落した戦略的思考の啓蒙を狙った著書。
岡崎氏は、1930年生まれ、2014年に死去。
伊藤博文が内閣総理大臣の時代に外務大臣だった陸奥宗光の従弟。外交官。
戦略って大事やで、という内容です。
現代とは、合致しない内容ながら、過去を振り返って検証する機会と軍隊がないゆえに欠如しがちな戦略的思考を育む機会を得られます。
それにしても外務省、外交官という視線を拝借して世界をみるとずいぶんと違った景色が見えてきます。
インテリジェンスというものがフィクションなのか実在するのか、もっと近くによって確かめたいものです。
わたしが直近でほしい知識とは違うのですが、マクロの視点は必要で、それをレベルアップさせるには外交官視点は有効かも。
虫の眼、魚の眼、鳥の眼
ですかね。
大田 2020年 67冊目 (通算425冊目)
落合陽一さんが、これからの10年をSDGsを通してがっつり予測してみた、って話です。
今youtubeでの池上彰を目指して、オリエンタルラジオの中田敦彦さんが知識啓蒙系の動画を配信していますが、3本にわけてこの本を解説しています。
ヨウジヤマモトを着ている姿が、いくぶんとっぽく見えることもあるやもしれませんが、それを乗り越えて彼の言っていることをちゃんと読んで得るのは、リテラシーの底上げです。
わたしらは、ついついGAFAにまだ目を奪われがちですが、ヨーロッパ VS GAFAの姿をニュースでときどき観ることがありますが、その背景を理解できます。
ヨーロッパのGDPR(General Data Protection Regulation)が、どう社会に対してプレゼンスを大きくしていくのか?この視点で世界を見直すと先が面白くなってきます。
わたしのなかでは、すごくアドバンテージを得られた本でした。
ところでこの本に出てくるタタ・モーターズは、インドの自動車メーカーで、知らない人も多いかも知れませんが、
ジャガーとランドローバー(当ウェブサイトの良いモノ・アーカイブでランドローバーも取り上げています)を傘下においている大企業です。
大田 2020年 66冊目(通算424冊)
登山家というか科学者というか技術者というかな西堀栄三郎さんの指南書。
1972年初版だけあって、古い。松下幸之助さんの時代の気配を感じる。
けど逆言えばクラシック、古典になりつつある。
読んでみて「やはり」と思ったのは、バランスがあることでした。
作中のエッセイの一つにあった『ロジックとノンロジックの調和』というタイトルにもそれが伺えます。
無謀なわけではないが、豪快でもある。
南極観測船、「宗谷」に乗って、西堀さんは南極へ行くのですが、当日何か忘れ物がある気がしたり、不安で落ち着かない。
そんななか「これから先は、何がなくてもやっていかにゃならん。ひたすら創意工夫に頼るしかない」と気づいたら、とたんに落ち着いたという話がありました。
わたしもソロキャンプで一人で山に入ると近い気持ちになります。
「そこでできることしかできないんだな」ってことがもう頼るべきは「知恵と工夫」だけになるんですね。
心理学的なエビデンスのある指南書じゃありません。ただ一人の考えに過ぎません。
でも、頼もしい先輩がすぐそばにいるような心持ちになる本です。
手に取れるところにおいておくと落ち着きます。。
大田 2020年 66冊目(通算423冊目)
十歳で孤児になった主人公が、失踪した両親を探すために探偵になる……というあらすじに惹かれて、またイシグロカズオをよく知りたく思い手にしました。
が、ぜんぜん読みすすめない。今のところ、わたしはイシグロカズオさんが得意ではなさそうだということがわかりました。
大田 2020年 64冊目(通算422冊)
イスラエルについて基礎的なことからよく知りたいと思って手にとってみたんですが、佐藤優さんの個人的な考察という感が強くて、今のことろピンとこなかったです。このさきピンと来ることがあるのかわからないのですが、別のアプローチから知識を収集していってみます。それから読んでみたら少しは理解がしやすくなっているかしら。
大田 2020年 63冊目(通算421冊)
メイソン・カリーの『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』の続編。
原題は、Daily Rituals Women at work。前回は、Daily Rituals: How Artsits Workでした。
Ritualは、儀式という意味で、良書とも「アーティストたちの日々の習慣」というニュアンスです。天才って言っているわけじゃないんですけど、『天才たちの日課』のほうがわかりやすいですし、キャッチーですし、本質からずれてもいないとわたしは思っています。
で、前回は、出版してみてから「あれ!?男ばっかじゃん。ダメじゃん!女性の偉人たちの日課だってまとめよう!」ってことでできた本です。
本の装丁が楽しいので、Kindleより本をお勧めします。個人的に。
「やっぱすげーなー」っていうよりは、天才や後世に名を残す人たちは、ぜんぜん完璧じゃないし、けっこう間違っているし、けっこう変!という姿をいっぱい見て、安心するという感慨が読後に湧きます(笑)。経営者たちを見ていても同じように思いますが、ちゃんとしているってことは大事じゃないかもしれません。ウィリアムズ・バロウズほどまで常軌を逸したくはないですが、そういうことを知るのにも良いし、ときどき参考にもなります。
前著と合わせて楽しく偉人たちの変な、またはまっとうな習慣を本書を通して知ることをお勧めします。
大田 2020年 62冊目
実は、井伏鱒二さんの『太宰治』を読む前に読んだので、
きれいなデカダンスだという読後感だったんですが、今一度読みたくなりました。
太宰治は、この人間失格を書き終えて1ヶ月後に山崎富栄さんと入水自殺しています。
そのプロセスも含めて切ないがゆえに魅惑的な気配も感じます。「もし恋愛するなら、死ぬ気でしたい」という言葉などに。
ロマンスも含めたデカダンス(いやデカダンスにはけっこうよくロマンスを含んでいる)と文学的な知性のケミストリーはずいぶんと心惹かれるものがあるのだなぁと体感する小説でした。
ただし、その小説の外から、太宰治氏をみてみると彼の懊悩は、個人的にいくぶんは理解できそうなこともあり、また井伏鱒二氏の視線を通して一度太宰治氏を見た後には、また別の感慨に変わってきます。
是非とはともかく必死やん、と。それに惹かれる心は止められても、畏敬の念は野放しにします。
大田 2020年 61冊目(通算419冊目)
花人の川瀬敏郎による、文字通りの一日一家。
短くコンセプトも紹介してくれています。
千利休についての考えもちらほら吐露されているので、あらためて千利休を知りたいと思いました。
これもリッツ・カールトン東京のクラブラウンジで知った本ですが、自分でも購入しました。
川瀬敏郎さんは1948年生まれなので2020年で68歳。
パリ大学に留学しているところも興味深い。
花についての造詣は、多少なりとも持っておくと人生をより楽しめそうな気がします。
大田 2020年 60冊目 通算418冊
言わずと知れた社会学者、マックス・ヴェーバーの著書。
禁欲的なプロテスタンティズムのもと、逆説的に資本主義が発達したのよって、話。
後半にある翻訳者の大塚 久雄さんの解説がわかりやすい!
ヴェーバーの研究熱に安心した。
こんなに研究して良いんだ!という(笑)
ああ、研究して仮設を立てて実践して生きたい。
そうしよう。
大田 2020年 59冊目 通算417冊目
エリオット・アーウィットという、フランス生まれ、アメリカで成功した写真家の、生誕90年を記念した写真集。
彼は、「世界最高の写真家集団」と呼ばれるマグナム・フォトに1953年から所属しています。
雑誌用の写真など、ウィンストン・チャーチルやマリリンモンローなど多くのセレブリティの姿から、ユーモアのある風景など、古いが今の目にも楽しい写真が多くありました。
この写真集は、リッツ・カールトン東京のクラブラウンジにて目を通しました。リッツ・カールトンのクラブラウンジには、写真集などが200冊ほどあるので、その点、飽きませんでした。
大田 2020年 58冊目
机上ではなく実際の経営改善を当たり前のように重視してきた中川政七商店の中川淳氏と「COEDO」などのデザインを手掛けてきたブランディングデザインを掲げた、エイトブランディングデザインの西澤明洋との共著。
共著ってところが悪い予感をさせるとおり、一冊の本として纏まりは悪く、事例紹介、それからおのおのの方法論の紹介となっていて、「経営」と「デザイン」をつなげる1思想というものが得られる感は少ない。が故に、ネット上の評判は良くないものも多いのですが、
そこは自分でやれば?
と考えると得るものが非常に多い、生の声を得られます。
ブランディングというものは、当事者が語れば、一事例に過ぎないし、コンサルタントの目線だと机上論がすぎる。経営者目線だとデザインの知識不足が目立つ。だからこそなんですが、
だったらどうしたらいいのか?
ということに取り組んできている両者です。デザインの良し悪し、本の完成度なんかより、彼らが実践してきたことから得るものは、とても多い。わたしとしては、こういう狙いの本を作りたいと思い続けてきていたので、それも含めてとても良い参考書でした。
大田 2020年 57冊目
アメリカの作家、ジャック・ロンドンの短編。
ジャック・ロンドンは1916年、第1次世界大戦中に40歳という若さで亡くなっています。モルヒネを飲んでの自殺でした。
1903年(27歳)に出版した『The Call of the Wild』で著名作家になりました。
この To Build a Fireも有名で、映画にもなっています。
話は、カナダ極寒地のユコンの地域で、無謀な外出をし、マイナス50度近い極寒のなかを犬とともに歩き、途中暖を取るために火を熾すのですが、不注意にもずいぶんと危険な場所で焚き火をしたために……というハラハラする内容です。
わたしは、一人でキャンプをするのが好きなので冬に焚き火をしているとかならずこの話を思い出します。
いろいろな修辞や展開、機微の動きが凝縮された短編小説です。最後のシーンに出てくる表現が印象です。犬を描写した部分です。
ぜひ多くの方に読んでほしい。
大田 2020年 56冊目
ヴェルレーヌ、坂口安吾というながれでデカダンス文学をちらっと読み続けて太宰治の『人間失格』を読んで、
「うーん、なんというかいじいじしていて苛立たしい!」
という思いが、感心しながらも湧いたのですが(坂口安吾にも近い感情が湧きました)、
井伏鱒二の描く太宰治は、その印象と随分と異なりました。
井伏鱒二の視点から観る太宰治は、ずいぶんと魅力的で且つ母性を抱かせる男でした。
愛おしい気持ちが湧くんですね。どうにも。
いくぶんか恋心みたいなニュアンスが含まれていたのではないか?と勘ぐるほど。
少し太宰が好きになりました。と同時に井伏鱒二も。
どちらももう少しゆっくり読んで血肉にしたい。
大田 2020年 55冊目
人が変われないのは、変わらないほうが生存しやすいという進化心理学的な理由があるのですが、本書では、発達心理学と組織論の視点で、変わりにくい理由と変えていきやすい環境作りについて解説されています。
原題のImmunity to change。変化に対しての免疫という意味で良いか。
本書のなかでは免疫マップというものが出てきて、自分がどうして変われないのか、その深層を掘り起こしていく手法が紹介されています。
このあたり、わたしはアドラーが好きなのでしっくりとコミットできません。
それでも一通り読んでおいておいて損はないと思える本でした。
今までは個人ベースで考えていましたが、組織が変化しやすい環境の作り方は大いに学べそうですが、実践してみないとなんとも言えないですな。
大田 2020年 54冊目
最後の解説にある通り、同じもがくにしろ、方法論があるあることを知ってもがくのと、知らずにもがくのとでは結果が大きく異る、ということを大きく学べます。
読んで楽しいのですが、実践に移さないと意味がないでしょう。この辺は、前著『ザ・ファシリテーター』やエリヤフ・ゴールドラット の『ザ・ゴール』と同じです。
オススメは、1回目は読み物として楽しく読んで、2回目にテクニックを抽象して身につけていくことです。
とは言え、わたしもこれからやっていきます!
それにしても、これらの本が読んでいて大変おもしろい理由は、ゲームと一緒で主人公が成長していくからです。報酬系がばしばし刺激されるんです。
これ、実の人生に活かせそうですね。
大田 2020年 53冊目
この本は薦めるかどうかとても迷う本です。
オリエンタルラジオの中田敦彦さんも絶賛してYoutubeで解説しています。
が、私見とエビデンスベースがごっちゃになっているので(べつにそれはまあ良いのだけれど)知見のひとつひとつが有用かどうかをつど考える必要があるんです。もちろんエビデンスベースだってわたしたちは疑ってかかって然るべきなんですが。
これを読んでいると「なるほど、冷静に考えるとこうなのか!」と思うことが多いのだけれど、私見も混ざっているんで、鵜呑みにしないほうが良いものが混ざっているんです。
それを判断するのは、エビデンスベースのリテラシーがないと難しい。
「なるほどそうか!」とちゃんと思える知見もあるんですが、そうではないものもある。だから勧めがたい。
だからまずは、本書よりは、ロスリングの『ファクトフルネス』とかピンカーの『21世紀の啓蒙 』をオススメします!
思い込みと現実の乖離を知ろう!って意味では、そこから始めたほうが健全な気がします。
大田 2020年 冊目
今更ながら着手したジム・コリンズのこの著書は、
goodからGreatに飛躍した会社、経営者の共通点を探るものです。
ファクトベースにして帰納して仮説を立てるスタイル。
地味で不屈の経営者を第5水準のリーダーとして、彼らの特徴を挙げています。
面白いのは、経営目標を立ててからそれにあった人材を集めるのではなく、人材を選んだ後に経営目標を建てること。
20年以上前に出版された本書が、今も通じるのか、その間にパラダイムシフトは起こっていないのか。
検証したいが、経営者の理想像を描く前に読んでおきたい本でした。
それにしてもカクテルみたいな名前だなと著者について思っていたんですが、カクテルはトム・コリンズでしたね。夏になったら飲みたいですな。
大田 2020年 51冊目
私としては「やられた!」とうなる一冊。
ファクトとブランディングをどう結びつけるべきかというライフワークに、その道のエキスパートたちに先にぐっさりメスを入れられたと感じたから。
がゆえに、得るものがこの上なく多い。対談しているうちにキーワードとして浮上した「世界観」。
この曖昧な言葉が、わたしたちの未来には、とても重要になってきます。
問題を解決することが大事なのでなく、問題を見つけるのが大事だから。
それを作り出すのが世界観だと二人は言う。
マーケティングの真逆であり、広告業の志向するところともまた逆。
何度か読むことになりそうな本です。
大田 2020年 50冊目